Stable Diffusionとは?他の画像生成AIとの違いや使い方・使用の注意点まで解説

画像生成AIブームの火付け役のひとつであるStable Diffusion。

有名なAIツールではありますが、その自由度の高さかか、Stable Diffusionが何を指す言葉なのかわかりにくいのも事実です。

そこで本記事では、Stable Diffusionとはなんなのか、他の画像生成AIと何が違うのかを解説します。

使用方法それぞれの違いを知り、ビジネスでの失敗を避けるため、ぜひ最後までご覧ください。

目次

Stable Diffusionとは無料で使える画像生成AI

Stable Diffusionは、Stability AIが開発した画像生成AIサービスです。

プロンプトと呼ばれるテキストでの指示を入力すると、学習済みのデータから指示に近い画像を出力します。

オープンモデルで誰でも使えるため、使い方さえ知ってしまえば無料で使用可能です。

日本語で使用できるJSDXL(Japanese Stable Diffusion XL)も開発が進められており、国内で最も注目を集める画像生成AIのひとつとなっています。

Stable Diffusionと他の画像生成AIの違い

Stable Diffusionとその他の画像生成AIの最も大きな違いは、オープンモデルで誰でも開発可能であることです。

ビジネス利用を前提に考えると、次の3点は特に重要な違いだといえます。

  1. ツールそのものの使用料が無料
  2. 学習データの追加や調整ができる
  3. 運営による急な仕様変更の心配がない

それぞれ解説します。

1. ツールそのものの使用料が無料

Stable Diffusionの最大の特徴の一つは、ツール自体が無料で利用できる点です。

多くの商用画像生成AIは、使用するためにライセンス料やサブスクリプション料を支払う必要があります。

しかし、Stable Diffusionはオープンソースモデルを採用しており、個人利用から商業利用に至るまで追加コストなしで利用できます。

これにより、スタートアップや小規模なビジネス、独立したクリエイターも高度なAI画像生成ツールを手軽に利用できるようになり、ビジネスの機会が拡大します。

2. 学習データの追加や調整ができる

Stable Diffusionは、自分で学習データを追加したり、既存のデータを調整したりすることができ、オリジナルの画像生成AIを作成可能になります。

他の画像生成AIは、それぞれのAIが事前に学習しているデータから画像を生成してくれるのみで、ユーザーが新しく学習データを追加することはできません。

そのため、Stable Diffusion以外の画像生成AIを使う際は、希望に近い画像を生成できそうかどうかが使用の判断基準になります。

対してStable Diffusionは、希望する画像を生成させるために、ユーザー自らが学習データなどを追加・調整して使用できるのです。

3. 運営による急な仕様変更の心配がない

オープンモデルであるStable Diffusionは、運営側による急な仕様変更やサービス停止の心配がありません。

画像生成を含むAIの業界は急激に発展して注目を集めており、毎日のように大きな仕様変更を繰り返している状況です。

機能制限についてわかりやすい例をあげると、性的なコンテンツの生成を防ぐため、禁止ワードを多く設定しているツールも多くあります。

そのためStable Diffusion以外の画像生成AIでは、性的な意図はまったくなくてもNGワードの影響で少女の画像が生成しにくいなどの課題が残るのです。

NGワードを含め日々多くの制約を受け、急な機能制限がめずらしくないAI関連ツールのなかで、自由に使用できるStable Diffusionは非常に心強い存在だといえるでしょう。

Stable Diffusionの使い方は2種類ある

Stable Diffusionには2種類の使い方があります。

  1. Stable Diffusionを使える環境を構築する
  2. Stable Diffusionをベースとしたツールを使う

それぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。

1. Stable Diffusionを使える環境を構築する

Stable Diffusionの使い方のひとつは、Stable Diffusionを使用する環境を自分で作ってしまう方法です。

Google ColabなどのWeb上の仮想環境や、自身のPCなどのローカル環境、どちらでも使用できます。

PythonやGitなどの基本的なプログラミング知識があれば使用できますが、プログラミング未経験者にとってはそのハードルを高いと感じるかたも少なくありません。

しかし一度作ってしまえば、制約を受けずに自身の希望通りの画像を生成できます。

自身で環境を構築する方法は、構築のハードルの高さがデメリットであり、使用の自由度がメリットといえるでしょう。

2. Stable Diffusionをベースとしたツールを使う

Dream Studio

Stable Diffusionを使うふたつめの方法は、Stable Diffusionをベースに開発して提供されているツールを使用することです。

Stable Diffusionはオープンモデルの画像生成AIですから、さまざまな企業やクリエイターが、調整済みのAIをツールに組み込んで公開しています。

以下の5つはよく紹介されているツールで、いずれもStable Diffusionをベースとしています。

STABLE DIFFUSION XL

DreamStudio

Stable Diffusion Online

Leonardo.Ai

お絵かきばりぐっどくん

ツールによってはアカウント登録もせずに無料で使用できるのがメリットですが、他のAIツールと変わらず機能制限の影響をうけやすいのがデメリットです。

Stable Diffusionをビジネスで利用する注意点

Stable Diffusionをビジネスで扱う際は、注意しておきたい問題もいくつかあります。

特に、大きな問題へと発展しかねないのは以下の3つです。

著作権をはじめとする各種法律の問題

画像生成AIに対する世間のイメージ

ツールを提供する場合のユーザビリティと制限

それぞれ事前にチェックしておきましょう。

1. 著作権をはじめとする各種法律の問題

ビジネスでStable Diffusionを利用する際には、著作権法をはじめとする法的な問題に注意する必要があります。

現在の日本の法律では、AIによって著作物を学習させる行為自体は著作権法違反には当たりません。

しかし、AIが生成した画像は、人間が描いた画像やデザインと同様に著作権法の適用対象となります。

これは、AIが特定のキャラクターや既存の著作権を持つ作品を学習しても問題ないが、生成された画像が何らかの法的問題を引き起こす場合、その取り扱いには注意が必要であることを意味しています。

また、Stable Diffusionの生成物を納品する場合、あるいは納品物を受け取る場合、その画像になんらかの問題があった際の責任の所在などは契約の問題にも関わるでしょう。

画像生成AIの活用はまだ始まったばかりであり裁判の前例も少ないため、各種法律への配慮は重要なポイントとなります。

2. 画像生成AIに対する世間のイメージの問題

法律的に問題がない場合でも、画像生成AI、特にStable Diffusionの使用に対して、一部の人々が懐疑的な見方をしていることに留意する必要があります。

日本では、他者の著作物をAIの学習に使用すること自体は違法ではありませんが、人間が長年にわたって習得した技能をAIが瞬時に模倣することに対して、違和感や嫌悪感を持つ人々も存在します。

これは、法律の問題ではなく、一般の印象や感情の問題です。

さらに、画像生成AIがフェイクニュースのような問題を引き起こす可能性にも注意が必要です。

これらの問題に対して、社会がどのように反応するかを見守ることが重要です。

たとえ法律違反ではなくても、社会の印象が悪ければ、サービスが終了に追い込まれる可能性もあります。

そのため、ビジネスで画像生成AIを使用する際は、法律だけでなく、社会の受け止め方にも慎重に配慮することが求められます。

3. ツールを提供する場合のユーザビリティと制限の問題

ビジネスでStable Diffusionを活用する一つの方法として、自社で画像を生成するだけでなく、画像生成ツールをサービスとして提供することが考えられます。

この場合、ユーザビリティ(どれだけユーザーが自由に使えるか)と機能制限(生成をどこまで制限するか)のバランスが非常に重要です。

制限が少なければ、自由度が高く使いやすくなりますが、これにはリスクも伴います。

たとえば、ユーザーが性的または暴力的なコンテンツを生成し、それが問題になる場合、それを可能にしたツール自体が悪い印象を持たれる可能性があります。

そのため、多くのツールは誤った情報や不適切なコンテンツの生成を防ぐために何らかの制限を設けています。

具体的な例として、タレントや有名な経営者など実在する人物の名前をNGワードとして扱い、生成を制限するツールが多くあります。

このように、ユーザビリティの構造と機能制限のバランスを慎重に考慮して開発することが、画像生成ツールをサービスとして提供する場合には特に重要です。

まとめ

Stable DiffusionはStability AIによって開発された無料で使える画像生成AIサービスです。

テキスト入力に基づいて画像を生成し、オープンソースモデルのため誰でも開発や使用が可能です。他の画像生成AIと比較して、無料で利用可能、学習データの追加や調整が可能、運営による急な仕様変更がない点が特徴です。

Stable Diffusionの環境を自分で構築する方法と、既存のStable Diffusionベースのツールを使用する方法があります。

著作権法などの法的問題、社会的なイメージ、ツール提供時のユーザビリティと機能制限のバランスに注意して活用しましょう。

株式会社LOGではStable Diffusionをはじめとする各種AIツールの開発を承っております。

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