この記事のポイント

「社員から『AIを使いたい』という声が上がったことは一度もない」状態から、1日のセミナーで参加者の83%が「AIに前向きになった」と回答しました。
- 社内でAIを使っている社員がほとんどいない
- 経営層はAIの必要性を感じているが、何から手をつければいいか分からない
- 現場から「この作業を楽にしたい」という声が上がってこない
- 研修をやっても「話は聞くけど終わり」になりそうで踏み切れない
- 全社にAIを広げたいが、社員の温度差が大きすぎる
本記事では、相互ビジネスフォーム株式会社(大阪府大東市)が、AI活用セミナーをきっかけに「関心ゼロ」の状態から全社14時間研修の実施決定までを実現した事例をご紹介します。
導入企業の背景
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 相互ビジネスフォーム株式会社 |
| 企業サイト | https://www.sougo-bf.co.jp/ |
| 業種 | 印刷業(ビジネスフォーム・商業印刷) |
| 所在地 | 大阪府大東市(本社・工場)/東京支店 |
| 参加者 | 24名(営業部・生産部・生産管理部・資材部・経営管理部) |
| 事業内容 | ビジネスフォーム・帳票類の製造販売 |
| 導入サービス | AI活用セミナー(1日/スパルタAIDX研修の導入編) |
| 実施期間 | 1日(セミナー本編+経営層・管理職向けの相談会) |
同社はビジネスフォーム印刷を主力とする業歴の長い企業で、健康経営優良法人・プライバシーマークの認定も受けています。Google Workspaceは導入済みでしたが、利用できるアカウントは事務・営業・管理部門に限られ、AIツールはほとんど使われていない状態でした。
事前アンケートでは、AIを「まったく使ったことがない」「ほとんど使ったことがない」が24名中13名(54%)。「ほぼ毎日使っている」と答えた社員の多くも、実際には自社の基幹システムを指しており、生成AIの利用実態はさらに低いものでした。
導入前の現場課題

同社では、AIの必要性を経営層が感じていても、現場に届いていないという状態が続いていました。
課題1|現場から「困っている」の声が上がってこない
経営層は業務効率化の余地を感じていましたが、現場からの改善要望はほとんど上がってきませんでした。
- 見積作成に時間がかかっていても「不便」として認識されていない
- 面談で困りごとを聞いても、具体的な業務課題が出てこない
- Excelでの見積作成に慣れており、それ以上の改善余地を想像しづらい
「時間がかかることをやめるのではなく、時間を短縮する方法を考えてほしい」という経営層の問いかけが、行動につながっていませんでした。
課題2|ツールはあるのに使われていない
Google WorkspaceもGeminiも、アカウントを持つ社員は使える状態でした。それでも利用は進みませんでした。
- 何ができるツールなのかが分からない
- 使うと自分の業務がどれだけ楽になるのかイメージが湧かない
- カレンダー共有などの周辺機能も一部でしか使われていない
導入済みのツールが「あるだけ」の状態は、多くの企業で起きている典型的な停滞パターンです。
課題3|属人化した業務が引き継げない
生産計画の立案は、担当者1名の経験と勘に依存していました。
- 過去の工程実績を見ながら、本人の感覚で計画を組んでいる
- 部下を含め、他の誰も計画を組めない
- 繁忙期は計画業務が担当者に集中し、休日対応も発生していた
事業継続の観点で無視できないリスクでしたが、何から手をつければ解けるのかが分からない状態でした。
AIセミナーによる解決策

株式会社LOGは、「知識を教える」のではなく「自分の業務が楽になると体感させる」ことを唯一のゴールに置いてセミナーを設計しました。
仕組み1:事前アンケートで、その会社専用の内容に作り替える
汎用的なAIセミナーにせず、参加者24名から事前に回答を集め、内容を設計し直しました。
- 面倒だと感じている作業を選択式で回収(社内連絡14件、報告書・日報11件、在庫・納期確認10件など)
- AI利用経験を把握し、初心者が置いていかれない構成に調整
- 実際に使っている見積書・報告書のフォーマットを事前に共有してもらう
自社のフォーマットがそのまま題材になることで、参加者が「これは自分の仕事の話だ」と認識できる状態を作りました。
成果:全ワークを同社の実業務データで進行できる状態を実現
仕組み2:「見る」ではなく「その場で触る」ワークにする
座学を最小限にし、参加者が自分のPCで手を動かす時間を中心に据えました。
- ぐちゃぐちゃなメモを、正式な納品指示メールに整形する
- 走り書きのメモから営業日報を自動生成する
- 会議の録画から議事録を作る
- 見積書の作成を自動化する仕組みのデモを見る
さらに、自分専用のAIアシスタント(Gem)の作り方まで踏み込みました。これは事後アンケートで「明日から使ってみたい」の1位(12名)となった項目です。

上の写真は当日の様子です。参加者全員がノートPCを開き、自社の業務データを使って手を動かしています。「聞いて終わり」にしないための構成が、この状態を作りました。
成果:印象に残ったテーマ1位が「Geminiのデモ」で18名(75%)
仕組み3:「今の延長線上にない未来」を先に見せる
AIの操作方法から入らず、業界と仕事がこの先どう変わるのかを提示しました。
- AIが「ツール」から「労働力」に変わる転換点の解説
- 印刷業界での他社のAI活用事例
- 自分の職種が今後どう変わるかを、その場でAIに聞いてみるワーク
成果:「AIの最新トレンド」が印象に残ったテーマ3位(8名)。役員・部長層6名の平均満足度が4.17と全役職で最高
Before / After 比較
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| AIに対する印象 | 「よくわからないので様子見」が約3割 | 24名中20名(83%)が「前向きに変わった」 |
| AI利用経験 | 未経験・ほぼ未経験が13名(54%) | 「明日から使いたい」が全員から具体的に挙がる |
| 現場からの改善要望 | ほとんど上がってこない | 24名中21名が自分の業務での活用案を具体的に記述 |
| 社内推進体制 | 推進役なし | 旗振り役の立候補1名、チーム参加希望2名が出現 |
| 全社研修の実施 | 検討段階 | 14時間研修の実施が決定(3日間・5部署が参加) |
なぜ株式会社LOGを選んだのか
相互ビジネスフォーム株式会社は、業界団体の勉強会や無料のAIセミナーなど、複数の選択肢を比較検討していました。
1. 汎用セミナーではなく、自社の業務が題材になる
事前アンケートと自社フォーマットの提供を前提とし、その会社の実際の業務でワークを組む設計でした。「聞いて終わり」への強い懸念に対する回答になりました。
2. 現場のレベルに合わせて言葉を選ぶ
「AGI」「アイスブレイク」といった言葉すら通じない可能性を事前にすり合わせ、専門用語を排した進行に調整しました。「業界用語はかなり気をつけて対応してほしい」という経営層の要望に応えた形です。
3. 印刷業界の事例を調査して持ち込む
一般的なAI活用事例ではなく、印刷業界に絞った他社事例を調査して資料に組み込みました。事後アンケートでも「印刷業界(営業)としての有効な活用方法」が要望として挙がり、次の研修設計に引き継がれています。
4. セミナー後の相談会をセットにする
本編終了後、経営層と各部署の管理職を対象とした相談会を実施。全体では質問しづらい個別の業務課題を拾い上げる場を設けました。
5. 「その場の熱」を数字に変える仕組みがある
セミナー終了時にアンケートを実施し、社内推進チームへの参加意向まで確認しました。結果として、旗振り役を希望する社員1名、チームメンバーとしての参加希望2名が明確になりました。
現場のリアルな声
事後アンケートには、24名から具体的な回答が集まりました。満足度は平均3.83/5.0、「満足」以上が16名(67%)でした。
「要点をまとめたセミナーでしたが、次のステップへ興味が湧きました」 (営業・部長クラス)
「AIの進歩に驚いた。もっと日常に活用できる学習機会があればいいなと思いました」 (経営管理・パート)
「AIを使う事での事務作業の効率化を目指します」 (製造・課長クラス)
一方で、率直な改善要望も寄せられました。
「普段ほとんど使っていない私には少し高度に感じました。初心者向きにして頂ければ良かったと思います」 (営業・主任クラス)
「私自身のAIについての知識が少なすぎた為、活用時のメリットを実感することはありませんでした」 (製造・部長クラス)
この声こそが、次の14時間研修の設計図になりました。 事前学習動画の配布、冒頭での環境セットアップ、AI経験者と未経験者のペア編成など、初心者が置いていかれない仕組みを本編に組み込んでいます。
導入の価値・本質
この事例の本質は、「AIの使い方を教えたこと」ではありません。
社員が動かない理由は、やる気の問題ではなく「自分の仕事がどう楽になるか想像できない」ことにあります。想像できないものに対して、人は改善要望を出せません。
そこで必要になるのが、自分の業務が目の前で自動化される場面を1度見せることです。
同社では1日のセミナー後、24名中21名が「AIに任せたい業務」を自分の言葉で書き出しました。「面付作業の自動化」「生産効率の過去比較」「月次資料の作成」「納期管理」など、事前には出てこなかった具体的な業務名が並びました。
改善要望が上がってこなかったのではなく、上げる材料がなかっただけです。
こんな課題をお持ちの方へ
本事例の企業と同じように、以下のような課題を感じていませんか?
- 社員からAIを使いたいという声が上がってこない
- ツールは導入済みだが、ほとんど使われていない
- 全社研修をやっても「聞いて終わり」になりそうで踏み切れない
- 特定の社員に業務が属人化しており、引き継げない
- AIをどこから始めればいいのか、社内に判断できる人がいない
株式会社LOGのスパルタAIDX研修は、このような状態から、社員一人ひとりが自分の業務を自動化できる状態まで伴走支援します。
スパルタAIDX研修でできること:
- 事前アンケートと実業務のヒアリングをもとにした完全カスタマイズ
- 座学ではなく、自社の実データを使ったハンズオン形式
- 自分専用AIアシスタントの作成を全員が習得
- セキュリティと社内ルール作りまでを研修内で完了
- 研修後の社内推進チーム発足まで設計
「必要性を感じていない人間が受けても、あまり意味がないのではないか」 「受け身の社員ばかりで、ニーズを言わずに終わってしまう」
このような懸念をお持ちの経営者の方こそ、まずは無料相談をご利用ください。貴社の状況をヒアリングし、最適な進め方をご提案します。
また、特定の業務を確実に自動化したいという企業には、AIDX顧問もご用意しています。属人化した生産計画のような業務は、研修で全員に広げるより、担当者と伴走して形にする方が成果につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIを使ったことがない社員が多くても大丈夫ですか?
問題ありません。本事例では参加者24名のうち13名(54%)が未経験・ほぼ未経験でした。事前学習動画の配布、冒頭での環境セットアップ、AI経験者と未経験者のペア編成などで、置いていかれる方が出ない設計にしています。
Q2. 1日のセミナーだけでも効果はありますか?
「自分の業務が楽になる」と体感させる段階までは可能です。本事例では83%が前向きに変化しました。ただし定着には継続的な場が必要なため、セミナー後の勉強会や本格研修とセットで設計することを推奨しています。
Q3. 印刷業界の事例も見せてもらえますか?
はい。ご依頼いただいた業界に絞って事例を調査し、資料に組み込みます。本事例でも印刷業界のAI活用事例を独自に調査して提示しました。
Q4. 会社の見積書や報告書を題材にできますか?
可能です。事前に実際のフォーマットをご提供いただき、それを使ったワークを設計します。顧客情報などは伏せた状態でご提供いただければ問題ありません。秘密保持契約も締結いたします。
Q5. 土曜日や休日の開催もできますか?
対応可能です。本事例では、営業社員が外出しない土曜日を選んで実施しました。続く14時間研修も、3日間すべて土曜日で設定しています。
Q6. 一部の社員がオンライン参加でも実施できますか?
可能です。本事例では大阪の会場に対面で集まり、東京支店の社員はオンラインで参加しました。オンライン参加者の質問に対応する担当者を別途配置し、フォロー体制を組んでいます。
Q7. 属人化した業務の解消もお願いできますか?
研修とは別の形をおすすめしています。1名に集中している業務は、全員向けの研修で扱うと他の参加者が置いていかれます。そうした業務はAIDX顧問として担当者と伴走し、3ヶ月程度で形にする進め方が適しています。
まとめ|「関心がない」のではなく「想像できない」だけ
社員がAIに関心を示さない。改善要望も上がってこない。多くの経営者が同じ壁に直面しています。
このような企業が本当に必要としているのは、
- AIの知識ではなく、自分の業務が変わる体験
- 汎用的な事例ではなく、自社の業務を使ったワーク
- 一過性の盛り上がりではなく、次につながる仕組み
相互ビジネスフォーム株式会社は、1日のセミナーで参加者の83%がAIに前向きな姿勢へ転換し、全社14時間研修の実施が決定しました。
「AIをどうしていったらいいかが、よくわからないまま、とりあえずここまできている」
こう語っていた同社は現在、5部署が参加する全社研修の準備を進めています。最初の一歩は、社員に興味を持たせることではなく、興味を持てる材料を渡すことでした。